マルチエアコンの電源について|設置前に知るべき基礎知識と注意点
2025年6月18日更新
マルチエアコンを導入する際、「電源はどこに必要?」「配線工事はどうなる?」といった電源に関する疑問を持つ方が少なくありません。
室外機1台で複数の室内機を制御できるマルチタイプは便利ですが、その分、電源設計や配線に関する知識が必要です。
この記事では、マルチエアコンの電源方式、設置前に確認すべきポイントなどををわかりやすく解説します。
電源の前に知っておきたいマルチエアコンの基本
マルチエアコンは、1台の室外機で複数の室内機を稼働させることができる空調システムです。
一般的には2~5台の室内機を接続可能で、家庭用のほかオフィス・店舗にも多く導入されています。
この構造により外壁に室外機が多数設置されることを防ぎ、建物の美観やスペース効率を高められるのが大きな特徴です。
ただし、電源設計や制御方法が通常のエアコンと異なるため、導入前に正しい理解が必要です。
一般的なエアコンとの違い
通常のセパレートエアコンでは、室外機1台につき室内機も1台が対応します。
それに対し、マルチエアコンは室外機1台で複数台の室内機をまかなうため、省スペースかつ外観もスッキリします。
ただし、電源・配管・配線がやや複雑になるため、設置や工事には専門的な知識が求められます。
マルチエアコンの電源方式
マルチエアコンは、通常のエアコンと比べて電源の取り扱いが異なります。
複数の室内機を1台の室外機が制御する構造のため、電源の種類・配線方式・容量などを適切に設計しないと、安全性や効率に大きく影響します。
以下では、代表的な電源方式と選定の注意点について解説します。
単相100V・200Vの違い
家庭用エアコンでは「単相100V」と「単相200V」があります。
100Vはコンセント1つで動作しますが、マルチエアコンや高性能モデルでは200Vが推奨されることが多いです。
200Vは電力を効率よく使えるため、複数台運転しても負荷が安定し、電気代も抑えられる傾向にあります。
三相200Vは業務用
三相200Vは主に業務用として使われる電源で、より大容量の空調機器を動かすのに適しています。
家庭の電気契約では通常対応していないため、個人宅では採用されません。
飲食店や商業施設、ビルなどで三相電源が必要になるケースがあります。
マルチエアコンは室外機電源方式が主流
マルチエアコンでは「室外機電源方式」が主流です。
これは、電源を室外機に集約することで配線を簡素化でき、施工や管理がしやすくなるからです。
また、電源トラブル時も室外機側で一括対応できるため、保守性の面でもメリットがあります。
電源切替や専用回路切替が必要なことも
100Vから200Vへの切替が必要になる場合や、既存の分電盤では容量不足になるケースもあります。
設置前に「専用回路の新設」や「分電盤の交換」が必要になることがあり、これらは電気工事士の資格を持った業者に依頼する必要があります。
マルチエアコン設置前に確認すべき電源に関する項目
マルチエアコンの設置にあたっては、電源や配線状況の事前確認が必須です。
室外機や室内機の設置場所だけでなく、既存の電気設備が新たな空調機器に対応できるかどうかを確認しないと、工事が進められない場合があります。
とくに古い住宅や分電盤が小規模なケースでは、容量不足や配線工事の追加が発生しやすくなります。
以下でチェックすべきポイントを詳しく見ていきましょう。
分電盤の空き容量とブレーカーの確認
最初に確認すべきなのは、分電盤に空き容量があるかどうかです。
新たに200V回路を引く場合や、室外機に専用ブレーカーが必要な場合、分電盤に余裕がないと回路が増設できません。
また、主幹ブレーカーの容量が足りているかも重要です。
容量不足の場合は契約アンペアの見直しや、分電盤自体の交換が必要になることもあります。
専用回路が必要かどうか
マルチエアコンは原則として専用回路での運用が求められます。
これは電力消費が大きく、他の回路と共用することでブレーカーが落ちるなどのトラブルが起きやすいためです。
ブレーカーが「専用:エアコン」などと記載されていない場合、すでに他の電化製品と共有している可能性があります。
専用回路がない場合は、別途配線工事が必要です。
既存配線の流用
すでにある配線をそのまま使えるかどうかも確認しておきましょう。
とくに古い住宅では、電線の絶縁体が劣化していたり、容量が100V仕様になっていたりすることがあります。
200V仕様のマルチエアコンを設置する場合、規格に合わない配線では安全に運用できません。
事前に業者に確認し、必要があれば新規に引き直す工事を検討しましょう。
電圧ドロップのチェック
室外機と分電盤の距離が長い場合、配線中に電圧が低下する「電圧ドロップ」が発生することがあります。
これにより、エアコンが正常に動作しない、寿命が短くなるといった不具合が起こる可能性があります。
こうした場合には、太めの電線を使用したり、電源位置を見直したりする対策が必要になります。
マルチエアコンの電源工事は専門業者に依頼しよう
マルチエアコンの設置には、通常のエアコンよりも複雑な電源工事が必要になります。
とくに200V回路の引き込みやブレーカーの変更、専用回路の設置、配線ルートの確保などは、建物全体の電気設計と関係してくるため、電気工事士の資格を持った専門業者でなければ対応できません。
知識のない状態でDIYや無資格施工を行うと、感電や火災、機器破損など重大なトラブルにつながるリスクがあります。
神奈川中央電気工事でも、マルチエアコンの電源工事をおこなっておりますので、マルチエアコン設置の際にはぜひご相談ください。